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東京地方裁判所 昭和57年(特わ)2363号 決定 1982年12月27日

本店所在地

東京都目黒区中町二丁目二三番一号

東邦精工株式会社

(右代表者代表取締役寺町博)

右の者に対する法人税法違反被告事件について次のとおり決定する。

主文

本件公訴を棄却する。

理由

本件公訴事実は、「被告会社東邦精工株式会社は、東京都目黒区中町二丁目二三番一号に本店を置き、ベアリングの製造販売等を目的とする資本金五億円の株式会社であり、寺町博は被告会社の代表取締役として同会社の業務全般を統括しているものであるが、同人は、被告会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、売上の一部を除外し、仕入を水増し計上するなどの方法により所得を秘匿した上

第一  昭和五三年四月一日から同五四年三月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が八億二一四〇万八〇二七円あったのにかかわらず、同五四年六月三〇日、東京都目黒区中目黒五丁目二七番一六号所在の所轄目黒税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が四億〇五七九万五八四七円でこれに対する法人税額が一億五六二八万七八〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により同会社の右事業年度における正規の法人税額三億二二五三万三〇〇〇円と右申告税額との差額一億六六二四万五二〇〇円を免れ

第二  昭和五四年四月一日から同五五年三月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が九億二九一二万四〇八〇円あったのにかかわらず、同五五年六月三〇日、前記目黒税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が七億〇二七八万九八四四円でこれに対する法人税額が二億六八二〇万〇〇〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により同会社の右事業年度における正規の法人税額三億五八七三万四〇〇〇円と右申告税額との差額九〇五三万四〇〇〇円を免れ

たものである。」というのであるが、東京法務局品川出張所登記官作成の登記簿謄本その他関係証拠によると、被告会社は、昭和五七年一〇月一日東京都品川区上大橋二丁目一三番三八号株式会社テーエチケーに合併し、合併後存続する右株式会社テーエチケーにおいて、同月二二日、その旨の登記を了したものであることが明らかである。そうすると、被告会社は右合併により解散し、存続しなくなったというほかないから、刑事訴訟法三三九条一項四号により本件公訴を棄却することとし、主文のとおり決定する。

(裁判長裁判官 小瀬保郎 裁判官 原田敏章 裁判官 原田卓)

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